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断熱材ってどう違うの?主な断熱材を徹底解明! メリットデメリット、おすすめはどれ?
断熱・耐震
2021年6月28日
家づくりやリフォームを行うとき、気をつけるべきポイントの一つが「断熱性」です。
住まいは雨や風を防ぐだけでなく、快適に過ごせることが大切です。
快適な住空間を確保するためには安全性や機能性も大切ですが、暑さ寒さから身を守るための断熱性が非常に重要です。
断熱性は使用する材料や工法によって大きく性能が変わります。
そこで今回はどのような材料があるのか?また、それぞれの断熱材の特徴は?などについて解説していきます。
断熱材を比較検討するために、それぞれの違いや主な断熱材のメリットデメリットをぜひ参考にして下さい。

住宅における「断熱材」の役割とは

日本の住宅の平均寿命は、諸外国に比べると短いといわれます。断熱材役割
国際比較によると住宅の平均寿命は、アメリカは55年、イギリスは77年ですが、日本は約半分の30年となっています。
決して日本の住宅の性能が低いわけではなく、厳しい気象条件が大きく関係しています。
ご存知のとおり日本はハッキリとした四季があります。
夏は東南アジアなみの過酷な暑さ、逆に冬は北欧なみの過酷な寒さを経験します。
激しい気温差と高温多湿な気候は、住まいだけでなく私たちの体にも大きな影響を及ぼします。
日本の住宅は、古来より夏場の蒸し暑さ対策に重点がおかれ、強い日差しを遮るための長い軒先や、土壁などの利用でさまざまな工夫がされてきました。土壁以外にも、もみ殻や石炭ガラなどを壁の中や天井裏に敷き詰めていた建物もあります。
過酷な外部と建物の内部の温度差を「断熱材」によって遮る方法は古くから取り入れられてきたのです。
そして、昭和40年頃からガラス繊維を使ったグラスウールなどが出現し、一般住宅の断熱材として広く使用されるようになりました。
当時の断熱材の性能はそれほど高いものではなく、また正しい取り付け方や工法も普及していませんでした。
なかには断熱材が充填されていない箇所や、止め方の間違いで脱落しているケースもあり、断熱性能を十分発揮している住宅はそれほど多くありませんでした。
しかし現在は工事精度や気密性の向上、そして断熱材の進化に伴い、数十年前では考えられないほどの断熱性に優れた住環境を手に入れることが可能になりました。
住宅の断熱性能を向上させることによって、快適な暮らしの空間を手に入れるだけではなく、住宅の寿命を延ばすことも可能になってきています。

 

どんな種類の断熱材があるの?

住宅に利用される断熱材にはどのような種類があるのでしょうか。
それぞれの断熱材の特徴や性能、メリット・デメリットなどを紹介します。
特殊な材料を除き、一般的な住宅に使われる断熱材を大きく分類すると「繊維系」と「発泡プラスチック系」の2種類です。
さらに繊維系断熱材は「無機系」と「木質系」に別れ、環境や人体に優しい「天然素材系」などもあります。

 

<無機繊維系> 

 グラスウール

グラスウールガラスを高温で溶かし、綿状にした繊維を集めた断熱材です。
もっとも普及している断熱材で、安価で燃えにくい性質があります。
デメリットは湿度に弱いことです。

 

 

 

 

 

 ロックウール

ロックウール見た目はグラスウールに似ていますが、原料は「鉱物」です。
鉱物を溶かして綿状にして繊維を集めた断熱材です。
撥水性が高く、耐熱性もグラスウールより優れています。
デメリットは、柔軟性がグラスウールより低いことです。

 

 

 

 

 

<木質繊維系>  

 セルロースファイバー

セルロースファイバー新聞紙や段ボールなどを原料にして綿状に加工した断熱材です。
難燃性や防虫性を高めるために、ホウ酸などの薬品を加えています。
基本的に壁や天井の中に充填する工法で使用され、高い断熱性と気密性が得られます。
デメリットは、価格が割高なことです。

 

 

 

<天然素材系> 

 炭化コルク・羊毛

炭化コルク・羊毛天然素材系の断熱材は主流ではありませんが、健康や環境重視などの理由で利用される断熱材です。
「炭化コルク」や「羊毛」などがありますが、デメリットは非常に高価ということです。

 

 

 

 

<発泡プラスチック系> 

 ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォーム 一般的に呼ばれる「発泡スチロール」と同じ素材の断熱材です。
製造方法によって「ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)」と「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」に分類されます。
水に強く、軽く、加工性に富む断熱材です。
デメリットは、火や熱に弱いことです。

 

 

 

 

 硬質ウレタンフォーム

硬質ウレタンフォームポリウレタン樹脂に発泡剤を加えた断熱材です。
ボード状に加工されたタイプと、スプレー状で吹き付けて膨らませるタイプがあります。
優れた断熱性能を有した断熱材です。
デメリットは、価格が割高なことです。

 

 

 

 

 フェノールフォーム

フェノールフォームフェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えた断熱材です。
熱を帯びると硬化し、燃えにくい材料です。
断熱性や耐久性に非常に優れた材料です。
デメリットは、非常に高価なことです。

 

 

 

 

 

断熱材 メリット デメリット
グラスウール ガラスを高温で溶かし、綿状にした繊維を集めた断熱材。もっとも普及している断熱材で、安価で燃えにくく、防音効果がある。 湿度に弱い
ロックウール 鉱物を溶かして綿状にして繊維を集めた断熱材。
撥水性が高く、耐熱性もグラスウールより優れている。燃えにくく、撥水性が高い。
湿度に弱い
柔軟性がグラスウールより低い
セルロースファイバー 新聞紙や段ボールなどを原料にして綿状に加工した断熱材。高い断熱性と気密性がある。結露を防ぎやすく、防音効果がある。 価格が割高
炭化コルク・羊毛 健康や環境重視などの理由で利用される断熱材。防虫効果があり、調湿力が高い。 価格が非常に割高
ポリスチレンフォーム 主に「ビーズ法」と「押出法」の2種。水に強く、軽く、加工性に富む断熱材。 火や熱に弱い
硬質ウレタンフォーム ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えた断熱材。
優れた断熱性能を有している。
価格が割高
万一燃えると有毒ガスが発生する
フェノールフォーム フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えた断熱材。熱を帯びると硬化し、燃えにくい材料。断熱性や耐久性に非常に優れている。 価格が非常に割高

 

性能を知って用途や目的に合わせて断熱材を選びましょう

さまざまな断熱材を紹介しましたが、断熱材の善し悪しを決定する「性能」について解説します。
断熱材は名前のとおり、熱を断つ(遮る)目的を持つ材料です。
熱の移動には「熱伝導」「対流」「熱放射」3つが関係しますが、断熱材の性能は「熱移動(=熱伝導)のしやすさ」を数値化した「熱伝導率」が重要な指標になり、数値が小さいほど高い断熱性能を有します。

◆ 断熱材の「熱伝導率」は以下のようになります。単位:W/(m・K)

断熱材 熱伝導率 [W/(m・K)]
グラスウール 0.035~0.045
ロックウール 0.035~0.045
セルロースファイバー 0.035~0.040
ポリスチレンフォーム 0.023~0.040
硬質ウレタンフォーム 0.023〜0.040
フェノールフォーム 0.023~0.040

「住宅の省エネルギー基準の解説(第3版)」 発行:財団法人 建築環境・省エネルギー機構より抜粋

 

また、住宅の断熱性能は、断熱材単品の性能だけでなく、工法によっても大きく異なります。
通常の断熱材は「充填工法」と呼ばれる方法で施工され、柱や間柱などの間に断熱材を入れたり、吹込み充填する方法です。
一般的な木造住宅に広く用いられている工法です。

もう1つの工法が「外張断熱工法」です。
壁の中に断熱材を入れるのではなく、壁の外側を断熱材で覆う工法です。
優れた断熱性能を発揮しますが、コスト面で割高になる工法です。

 

まとめ

断熱材にはさまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットが

断熱材

あります。
また、断熱性能の高いものはコスト面で割高になるため、どの断熱材がもっとも優れているという答えはありません。
施工業者によって考え方も異なり、扱うメーカーもさまざまです。
最近ではセルロースファイバーや硬質ウレタンも人気が集まってきましたが、住宅工事の市場シェアではグラスウールが圧倒的です。
それぞれの断熱材の特徴と費用をしっかりと把握して、快適で過ごしやすい理想の住環境を手に入れましょう。

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